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連載「マルサの事件簿」

税務調査における企業内不正の実態

ここでは、我々『ビジコム研究会』のメンバーが以前、国税査察官、国税調査官として税務調査を行った際に、企業内不正を発見したいくつかの例を紹介しています。

事例1 バックリベートに便乗の巻

 昭和63年秋、中央区に本社事務所のある土木工事会社に臨場した。
 この会社は、前数年間で売上高を十億円から百億円に急激に伸ばしているにもかかわらず、粗利益率が低調であり、原価費目に不審がもたれたので、特に外注費及び人件費に重点を置き精査を行った。その結果、大手元請業者の発注担当部長に対するバックリベートの資金を架空の外注費を計上してまかなっていたことが判明した。
 社長の指示により、毎月、元請業者の決済日に当社の経理部長が港区にある元請本社事務所で手形を受領してくるのであるが、 その際、発注担当部長がその都度指定する近くの喫茶店で工事代金のほぼ2%に相当する現金をリベートとして渡していた。
 つまり、この会社の急成長の裏にはご多分にもれず、発注元の要人に対するリベート攻勢があったというわけだ。
 ところが、よくよく調べてみると、昭和60年頃から先程のリベート率が工事代金の2%を上回るケースが目立ちはじめ、 捻出費目である外注費の架空計上に一定の整合性が失われてくるなど、さらに不審な点が見受けられたので、経理部長を追及したところ、昭和60年頃から、バックリベート分に自分の着服分も上乗せして、架空外注費を計上していた事実が判明した。
 5年間に支出したバックリベート約7,000万円の他、約3,000万円を着服し、遊行費に費消していたのである。
 社長の不正行為に長年携わってきた経理部長が、つい甘い汁を吸いたくなった典型的な事例であろう。

出典 『企業内マルサの事件簿』ビジコム研究会編


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