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人事制度設計を外部に委託する時に気を付ける3つのポイント

 人事制度は、給与や賞与の査定に使用するだけでなく、企業における生産性の向上や目標の明確化などにも活用されています。

 

 人事制度の重要性が高まっている背景の一つには、国が進めている働き方改革、そしてその柱の一つである「同一労働同一賃金」があります。
 働き方改革の推進のためには生産性の向上や効率化が求められており、従業員の目指すべき目標の明確化や、従業員への賃金配分の適正化が重要な視点となっています。また、恣意的な賃金決定を行なってきた企業は人材確保難や優秀な人材の流出というリスクを抱えてしまうことから、今後は職務内容や能力等に基づいた賃金決定ルールが求められています。

 

 では、新たに人事制度を導入する、あるいは制度の見直しを行うにあたり、どのように進めればよいのでしょうか。内製化で制度構築を進めることも可能ですが、実際に人事制度の設計に関わった経験がなければ、どこから手を付ければよいか、なかなか難易度が高いのが実情です。
 そこで一度、外部のコンサルティング会社に相談することをお勧めします。

 

 今回の記事では、人事制度設計を外部コンサルティング会社に相談、そして委託する時に気を付けるべき、3つのポイントについてお教えします。

導入に際し、何を実現したいかを明確にする

 人事制度のコンサルティング会社のアプローチは様々ですが、大きく2つに分けられます。

パッケージ型

 コンサルティング会社の中で人事制度の「型」を持っていて、その型に合わせて中身を設計することで企業独自の人事制度を構築する手法です。
 例えば給与制度では、基本給テーブルの等級の数や号俸の上限、昇給方法、評価反映方法などが決まっており、テーブル内の金額や昇給幅などを設計することで企業独自の制度に構築する、といった方法です。

 

 型がある分、導入までの期間を短くすることができます。コンサルティング会社内で独自の人事制度システムを構築している場合もあり、その場合は運用面が非常に楽になります。

 一方、制度の柔軟性としては低くなりやすく、人事制度に対する企業の要望を実現しきれないことがあります。例えば従前の人事制度から大きく変わる場合は、全く異なる制度になるため従業員の理解を得られない、というケースがあります。現状把握をせずに人事制度を導入する場合は、人によっては大きく待遇が変わってしまうということもあり、特に移行する時には注意が必要です。

カスタマイズ型

 企業の要望に合わせて、人事制度を一から構築する方法です。企業のイメージする人事制度と、実現可能性等を考慮しながら構築します。

 

 パッケージ型と比べると、型がない分導入まで時間がかかることが多いですが、自由度が高く企業の実現したいことに合致する人事制度が構築できます。

 

 デメリットとしては、制度運用に手間がかかる傾向にある点が挙げられます。カスタマイズされた独自の人事制度となるため、例えば市販の人事制度システムや給与計算システムの機能に完全に合致せず、システム外の管理や手作業が発生してしまう可能性があります。

 

 費用についてパッケージ型とカスタマイズ型、どちらの方が高い/安いという傾向は一概には言い切れません。こちらについては後述します。

 

OAGビジコムはカスタマイズ型

 OAGビジコムでは、お客様の要望に合わせて人事制度を構築するカスタマイズ型をとっています。どんな人事制度にしたいか経営者の想いや企業の意向を確認し、場合によっては従業員がどのように考えているのか聞き取りを行い、現状分析を経てフレームワークを構築していきます。フレームワークが決まれば、綿密なディスカッションと新人事制度のシミュレーションを重ねながら詳細を詰めていきます。

 導入までの期間としては、十分な現状把握や分析、シミュレーションの時間が必要なため、おおよそ6か月~12か月を目安にしていただければと思います。但し、例えば一部分を先行して導入し、運用を開始しながら残りの部分の設計や細部の見直しをする、という進め方もできますので、導入期間についてはご相談ください。

コンサルティング会社の強みを把握する

 コンサルティング会社によって、強みとしている部分が異なります。その会社の強みと企業が実現したいことが一致しているかどうかも、選定のポイントとなります。例えば以下のような強みを持つコンサルティング会社があります。

業種特化

 「製造業のための」「小売・飲食業向け」といったように、特定の業種に対する傾向に特化した人事制度のパッケージを持っている、あるいは対応実績が多く経験が豊富なコンサルティング会社です。業種の特徴を熟知していますので、企業の悩みどころを理解してくれることが多く、将来的なリスク対策も検討してくれます。
 選定の際には、業種の理解の部分だけでなく人事制度を構築する上での強みも確認するとよいでしょう。

システム運用特化

 コンサルティング会社独自のシステムを持っており、導入後の円滑な制度運用を強みとしているケースです。特に人事評価の部分をシステム運用できることは大きな強みで、人事部門や従業員の負荷は大きく軽減されます。
 システムに合わせて制度設計するためパッケージ型が多いのですが、デメリットとしては、システムがカスタマイズできず柔軟性が低い点、将来的に抜本的な制度の見直しを行う際にシステムから抜け出しにくい点が挙げられます。

教育、研修特化

 従業員のスキル向上のための階層別研修や、評価の基準を適正化するための評価者の教育、e-ラーニングなど、従業員教育に特化しているケースです。従業員のレベルごとに必要なスキルを習得させたい等、従業員教育に力を入れたい企業は検討してもよいと思います。
 選定する際には人事制度全体、特に賃金体系や賃金決定方法等を構築する上での強みも確認するとよいでしょう。

 

OAGビジコムの強み

 企業には様々な立場の多様なスタッフが働いています。企業の意向の確認に加えて、従業員ヒアリングを実施することで、組織全体が納得できる制度構築を支援します。
 また弊社は税理士法人を母体としており、人事だけでなく財務の観点からも人事制度を分析、シミュレーションします。
 企業を従業員視点と経営者視点で、そして人事視点と財務視点で、トータルサポートできることを強みとしております。

どこまで対応してくれるかを確認する

 弊社には、「人事制度を設計したが運用できなくなった/使用していない」というご相談をいただくことがあります。導入するまでは良いのですが、制度が複雑すぎて運用の難易度が高すぎたり、運用後の微調整や法改正の対応ができなかったりといった場合に、上記のようなお悩みの状態となってしまいます。

 人事制度の構築を委託する際は、どこまで対応してくれるのか、あるいはどこまで対応して欲しいのかを明確にした方が良いでしょう。

サポート範囲の例

 例えば新人事制度の導入~制度の定着までのサポート範囲は、以下のようなものが想定されます。

・人事制度の設計まで
・新人事制度の移行措置の提案
・従業員への説明会実施
・該当規程の改定、届出
・評価者への研修の実施
・導入後の評価結果の分析
・人事制度導入後の微調整

 

 費用について一概に言い切れないのはここに原因があり、「制度導入○円から」と一口に言っても、設計までなのか規程や研修まで見てもらえるのか、トータルで考えるとコストは大きく異なります。コンサルティング会社がどこまで対応できるのか、そして要望としてどこまで対応して欲しいかについても明確にしておきましょう。

 

OAGビジコムのサポート範囲

 ご要望に合わせ、前述の設計から運用・定着まで永くサポートさせていただきます。関与度合いについても、例えば従業員説明会であればマニュアルまで、説明会資料まで、制度の説明までと幅広くご対応させていただいております。

 


 

 いかがでしたでしょうか。
 もちろんこれが選定基準のすべてではなく、企業のおかれた状況に応じて変わるものではありますが、是非ご参考にしてください。

 OAGビジコムでは、人事制度に関するご相談を随時受け付けています。この機に自社の人事制度について見直しを検討している方は、是非一度ご相談ください。

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